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22. 拍手の開始・終了を制御するサウンドシステム
背景と目的 : 演奏会や演劇、講演など、ギャラリ対パフォーマ型イベントにおいて、拍手のタイミングはギャラリに任される。そのため、パフォーマ側の予期せぬ場面で拍手が起こったり、逆に拍手してほしいところで静まり返るなどといった問題がある。
拍手は、一種の自律分散システムによる自己組織化現象と見ることができる。個々のギャラリはそれぞれが打ち合わせをすることなく、基本的には「他者が拍手を開始/終了したら、自分も追従する」というシンプルな規則に従って行動する。更に吹奏楽コンサートなどにおいては、アンコールを促す手拍子のテンポが自然に決定されたりする。これはまさに自律分散協調の驚異的な機能発現であると言えよう。
また、私語が許された環境において、ある瞬間に私語全体の音量が一定まで下がると、一気に全員が静まり返るという現象も日常的に体験する。これも自律分散システムのはたらきとして興味深い。
しかしながら他者追従型プロトコルでは、特に拍手開始に注目するとして、原理的にはいつまで経っても拍手が起こらないはずである。そのためスタータとでも呼ぶべき、真っ先に拍手を開始する者が存在すると仮定できる。スタータがいない場合、実際にいつまで経っても拍手が起こらないこともある。
そこで、今回は拍手開始と終了のきっかけを「ガイド音響」によって与え、ギャラリの拍手行動を制御するシステムを提案する。
内容 : パフォーマ側が拍手をしてほしいタイミングで、事前に録音しておいた拍手音(ガイド音響)をホールのスピーカなどから流す。するとギャラリもそれに追従して拍手を始めるだろう。次に、拍手を止めてほしいタイミングでガイド音響を止める。ギャラリは拍手の全体音量が急激に下がったことを認識して、拍手を止めるはず。ガイド音響に対する実際の拍手の応答は、図1のようになると推測される。
ガイド音響は実拍手の最大音量より十分に小さくてよい。特に拍手の開始は、一人分の音量で十分であると考えられる。
考察 : 拍手開始はいいが、終了は結構難しいかもしれない。また、このシステムでは予期せぬ場面での拍手の発生を一切抑えることができない。
2009/08/05 (Wed.) Trackback() Comment(0) 日々のアイディア