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【論文紹介】楽器の内部モデルに基づくフィードフォワード制御によるテルミン演奏ロボットの開発
久々の論文紹介。原著論文じゃなく講演論文ですが。
“楽器の内部モデルに基づくフィードフォワード制御によるテルミン演奏ロボットの開発”,水本ほか,情報処理学会第71回全国大会 4ZC-2,2009年5月
面白いじゃろ? 楽器演奏ロボは古来より研究(開発・製作)されてきたが、この研究は主張したいポイントがとっても明瞭。音高に対するフィードフォワード制御なんです。特にボクの心を打ったフレーズがこれ。
従来のテルミン演奏ロボットは音高を目標値としてフィードバック制御されていたが, 目標値への収束に時間がかかるので, 時間の制約が厳しいメロディ演奏には不十分である. (本文より)
これ、実際にテルミンを弾いてみるとものすごく分かる!! 人間が演奏する場合にも音高を目標値にしてフィードバック制御してるわけですが、たしかに収束しないんですよ。何とか半音以下の領域には収まるが、どうしても振動してしまう。「音程が合ってないのをわかってるのに合わせられない、テルミンならではのこのもどかしさ!」ってやつです。んで結局アップテンポの曲は演奏しにくい。
で、この研究では距離-音高の関係をモデル化してフィードフォワード制御をすることで、高速な目標値追従を実現しています。モデルは3つのパラメータを持つシンプルな指数関数で表されています。パラメータは“学習フェーズ”で同定します。ようするにキャリブレーションがいるわけですが、これはまぁ当然。
そして実験では平均絶対誤差8~14[Hz]で音高に追従できたとのことです。これに関しては、低音の方が周波数変化に対して敏感なので、周波数そのままじゃなくcent(対数)で評価したほうがよいのではないか? でも音高が高くなるにつれて距離に対して敏感になるから相殺されるのかな。指数だし。あと、せっかくだから追従速度も評価すればいいのにね。もともとそれが目的だし。
しかし大変面白い。まぁロボットに楽器演奏させて何になるの?っていう根本的な課題はあるが。
2009/12/28 (Mon.) Trackback() Comment(2) 論文紹介
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人類が滅亡しかけたときに
生き残った人が演奏を聴けるというメリットがあるぞ!!
マッハ 2009/12/29 (Tue.) 15:51 edit