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広島女学院中学・高等学校マンドリン部 第30回記念定期演奏会
行ってきたよー!!
何といっても今回の目玉は二橋潤一先生委嘱作品「Plectre Symphonie」ですね。女院(m重先生)から二橋先生への委嘱は今回で4回目だが、「おそらくこれで最後になる」とのこと(パンフより)。というのも、m重先生はあと3回で引退さてしまうそうなんです。それだけにこの曲は伝説的な1曲となることでしょう……!
曲の構成は第1楽章 アダージョ・セリオーソ、第2楽章 アンダンテ・カンタービレ、第3楽章 「スケルツォ」 プレスト、第4楽章 「アリア」 アダージョ、第5楽章 「フィナーレ」 ヴィヴァーチェから成る5楽章:急-緩-急-緩-急構成。以前、
内容については一切分かりませんが、何せ30回ですからロココ組曲のように校歌が織り込まれていたり……という身内サービスも考えられます。
などと予想しましたが、その斜め上を行く文字列主題で攻めてきました。何とm重先生の苗字のアルファベット表記からドイツ音名に読み替え可能な文字を抽出、A-Es-Es-H-G-Eという音列を主題に使っているとのこと。そんな無茶な!て感じですが、まぁこのくらい遠回りのほうが面白いですね。激しく跳躍するゲンダイチックなモチーフになってました。
第1楽章はとにかく激しい。現代的な和声と複雑なポリフォニー。不気味な低音の旋律から始まり、やがて恐怖と混沌とが濁流に飲まれ、すべて渾然一体となって流されていくかのようです。
それとは対照的に、第2楽章はロマンと憂鬱を湛えた非常に柔らかなメロディが織りなされます。この楽章単体でも人気が出るのでは、とパンフにもありますが、間違いなくマンドリン合奏における重要なレパートリのひとつになることでしょう。
第3楽章は怪しげなスケルツォ。何だか少しトゥーランガリラ交響曲を思わせる、慌ただしい曲調にございます。第4楽章もその流れを継いでか、アリアながらもどこか落ち着かない印象を受けました。自然短音階の使用や二度での衝突など、聞けば二橋先生らしいと分かるレトリックで描かれていたように感じます。
そして第5楽章はヴィヴァーチェで駆け抜ける。大幅な下行と上行を経る「不自然な音列」がどぎついアクセントで彩られ、あっちゅう間の終焉。懸念されていた空中分解もなく、見事に決まりました。演奏時間はトータル20分以上はあったと思います。
個人的には若干消化不良というか、一度聞いただけでは処理しきれないものがあると感じました。録音を何度も聞いて行くうちに味が出てくるんじゃないかと思いますね。あるいは、練習期間が短くて十分な解釈と弾き込みができなかったのも要因かもしれません。楽譜が仕上がったのがギリギリだったらしいので。しかしまぁボクの耳が貧乏というのが主たる原因でしょうが。
アンコールは二橋先生の「子どもたちのためのレクイエム」より第1曲「キリエ」と、同じく「マンドリンオーケストラのための組曲」より第2曲「フォルラーナ」でした。そしていつもの讃美歌。もうたまりません。ぜひm重先生ご引退時には「子どもたちのためのレクイエム」を合唱付きで再演していただきたいです。
新曲についてばかり書いてしまいましたが、演奏については序曲「サウル王の悲劇」が特に素晴らしかったです。イントロでの繊細なディナーミクに思わず鳥肌が! この曲は「劇的序曲」にも劣らぬ至宝的レパートリのひとつになるんじゃないかと思うんですがいかがでしょう。
というわけでざっくりながらレビューでした。来年も期待してます!
2010/04/25 (Sun.) Trackback() Comment(4) マンドリン
Comments
第1回から出ていたOGです、30回、いけなくて残念…。二橋先生の曲、素晴らしいですね。先日、近所で懐かしい人たちに会って盛り上がったところでした。
レビューありがとうございました!
Naomi 2010/05/02 (Sun.) 23:51 edit
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俺はこの30回記念に行けなくて、一生後悔しそうです…
いや、A○TEも良かったですよ。良かったんですが、それ以上に女院には行きたかったです(>_<)
Hm田 2010/04/26 (Mon.) 22:38 edit