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奨学金返済額減免の対象となる学生の選定方式について
日本学生支援機構の第一種奨学金には、「特に優れた業績による返還免除」なるシステムがある。同機構webサイトによると、
とのことである。“大学院において第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、在学中に特に優れた業績をあげた者として本機構が認定した場合には、貸与期間終了時に奨学金の全部または一部の返還が免除される制度です。 学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学修へのインセンティブ向上を目的としています。”
“全部または一部”とあるが、これは今のところ全額または半額ということになっている。第一種奨学金は月額88,000円なので、大学院博士前期課程を2年で修了する者には、総額2,112,000円が貸与されることになる。すなわちその全額あるいは半額の1,056,000円の返済が免除される可能性がある、ということである。
“在学中に特に優れた業績をあげた者として本機構が認定した場合”とあるが、これは実際には、各大学において教授会が開かれ、そこで機構に対する推薦という形で対象者が決定される。
つまり、どのような学生が減免対象になるかは、各大学の教授会によって決まると言うことである。
本学本研究科では、その年度の大学院博士前期課程修了者のうち、全額免除:1人,半額免除:若干名が推薦されることになっているようだ。そして、業績評価基準については、
・筆頭著者としての口頭発表(日本語での学会発表) : 5点
・連名著者としての国際会議発表 : 5点
・筆頭著者としての国際会議発表 : 10点
・筆頭著者としての原著論文採録 : 20点
・自主プロジェクト演習 : 10点
・TA(半期分=15コマ?に達していれば) : 5点
などというふうに加点されていき、総得点の高い者から免除が決まっていく(少なくとも昨年度までは)。こんなウラの配点表を公表していいのかと少し躊躇うが、むしろ公表・周知されてないほうがおかしいと思うので、敢えてここに掲載する(*1)。
ちなみにボーダーは35点で、それに満たない場合はno gameになる…とも聞いた気がするな。あと文化活動やらボランティアやらについてはよく知らん。まぁ何個か集めて5点になるとか、そんぐらいかな?
ここで気になるのが私の今までの得点である。単純に数えてみると、連名国際会議1回+筆頭国際会議1回+自主プロ+筆頭論文1通+TA=5+10+10+20+5=50点ということになる。やはり論文はデカい。
また、筆頭国際会議での賞も当然業績として加点されて然るべきである。これについては何点か聞いたことはないが、まぁ10点ぐらいはくれてもいいんじゃないか? となると60点! 半免は固いのでは?
が、ここで注意すべきなのは、「筆頭論文」が20点として加点されるかどうかが怪しいというところである。実はこれは「原著論文」ではない。先の国際会議に筆頭著者として提出した4ページのいわば“予稿”を、そのまま論文誌に掲載しているだけに過ぎない。
もちろん論文誌掲載の推薦が来て、「No revision」(修正なし)でマニュスクリプトを送ってくれと言われたからそうしたまでなのだが、普通の学会ではこんなことはない。普通は学会で発表した内容にもうひとひねり研究成果を加え、8~10ページほどの論文にしてから投稿→査読→ときにはリジェクト→再投稿のプロセスを経て論文誌に掲載される。でもそのまま送れって言われたからそうしたんだよ。二重投稿じゃないんだよ。(しつこい)
とまぁそんなわけで原著論文と同じ重みで加点されるとは思えない。でも10点ぐらいはくれるんじゃない?
しかしここで、そもそもこの算定基準の不透明性…というかガサツさについて論じなければなるまい。というのも、学会や論文誌にはピンからキリまである。ほぼ査読があって無いような学会も多いし、逆に投稿者のごく一部しか受からない学会もあるだろう。にもかかわらず単純に発表・投稿の数だけ加算するというのは、「優れた業績」を正当に評価していることにはならない。
学会・論文誌の質はIF(インパクト・ファクター)で評価することができなくもないが、そもそも国内の研究会などはIF自体が算出/公表されてない場合も多いし、分野によってもかなり差があるだろう。
分野の違いは、研究の進捗速度にも当然影響する。たとえば実験系(化学等)ならば比較的早く論文がだせるが、数学系などは査読自体に何年もかかったりしてしまうため圧倒的に不利である。
ではこの不公平感を是正するためにはどうすればよいのか……! 次回ではその驚くべき方法を提案する。
つづく
*1…ここに掲載した配転表はあくまでも私の研究科(某地方公立情報系大学院)独自のものですのでご注意ください。また、多くの大学院の返済免除推薦審査基準として、全講義科目の評定が優であることが第1基準として設けられていると思います。本学もそうであるとするならば、私はアウツ…!です。
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2010/08/12 (Thu.) Trackback() Comment(0) 大学院・研究生活
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