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2024/04/20 (Sat.)

2010
01
02

【論文紹介】 ステージ上の反射音構造がオーケストラ指揮者に対して与える影響 : 指揮者を対象としたステージ音響設計に関する基礎的研究

ついにフルペーパーを持ってきました。しかも建築系。まったくの門外漢です。

“ステージ上の反射音構造がオーケストラ指揮者に対して与える影響 : 指揮者を対象としたステージ音響設計に関する基礎的研究”AN INFLUENCE OF ACOUSTIC STRUCTURE ON ORCHESTRA CONDUCTOR : A basic study on stage acoustic design for conductor),徳永 泰伸,寺島 貴根,日本建築学会環境系論文集(622) pp.1-8,2007年

面白そう。要旨としては、コンサートホールでは多くの場合フルオケの演奏が行われるが、これまでオケのための定量的な音響設計についてはほとんど研究されて来なかった。そこでオケの指揮者に着目した音響設計の初歩的な実験検討を行う。という感じ。指揮者に着目する理由は

個々のオーケストラ演奏者に対して最適な音響条件を提供することは不可能であるが、オーケストラの統括・制御をおこなう指揮者に対して最適な音響条件を提供することにより、オーケストラ演奏全体の質を確保することは可能であると考えている。

とのこと。なるほどたしかに!実に論理的だ。まぁボクみたいなカス指揮者には意味ナs(ry


  んで内容としては、無響室内に指揮者と奏者を置いて実際に演奏してもらい、ディレイやリバーヴを用いた制御可能な仮想残響を指揮者に聴かせ、残響時間に対する「指揮のしやすさ・しにくさ」などの主観評価を得るというもの。被験者は「三重大学管弦楽団および吹奏楽団に所属する2~6年の経験を持つ指揮者6名」だそうです。おいぃー!マンドリン部も使うちゃれえやぁーー!!


  そして得られた結果は、

   ・残響音の持続時間や後期反射音の遅れ時間によって指揮のしやすさ・しにくさが異なる
   ・指揮のしにくさは残響音より、主に後期反射音に強く影響される
   ・指揮者は主に後期反射音に影響を受けるが、奏者は残響音にも影響を受ける

という定性的なもの。正直、後期反射音(客席後部壁から返ってくる遅いエコー)がよく聞こえるほどのホールで振ったことがないので何とも言えませんなぁ……w   でもたしかに、奏者としては残響が一切ない環境では極めて演奏しにくいが、指揮者的にはあんまり気にならんかも…という気もします。


  しかしながら i 尾チルドレンとしては、残響特性よりも周波数特性―つまり音量バランスのほうが気になります(*1)。低音がどんだけ聞こえるかのほうが大事じゃない? にもかかわらず、ホール音響の評価は主として残響時間の長さで行われている。なぜだろう。これは、残響時間設計のほうが容易だからなんじゃないでしょうか。残響時間は距離(ホールの大きさ)やら反射板の配置など、幾何学的な要素に依るところが大きい。したがって建築家的にも設計しやすく、評価も残響特性がメインになる。ところが周波数特性は壁の材質とかに大きく左右されそう。なのでめんどくさい、理論化しにくい→敬遠。みたいな感じじゃないんですかねぇ!?(以上、無根拠推測)


  というわけで、逆に演奏する側はホールの音響特性に応じた曲作りを心掛けたらいいですね。岡山市民会館で演奏するときはコントラバスを大量投入する、とかさ!(*2)



*1……周知のとおり、 i 尾さんは低音に異常な執着があった(今もあるはず)。が、そのわりにホールのスペックに関しては残響時間ばかり気にしていたように思う。
*2……岡山市民会館の低音の飛ばなさはすごい(当時の感想参照)。中ブロ小合同でコントラバス7人という異常な厚さだったが丁度良かった。

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2010/01/02 (Sat.) Trackback() Comment(2) 論文紹介

2009
12
28

【論文紹介】楽器の内部モデルに基づくフィードフォワード制御によるテルミン演奏ロボットの開発

  久々の論文紹介。原著論文じゃなく講演論文ですが。


 面白いじゃろ? 楽器演奏ロボは古来より研究(開発・製作)されてきたが、この研究は主張したいポイントがとっても明瞭。音高に対するフィードフォワード制御なんです。特にボクの心を打ったフレーズがこれ。

従来のテルミン演奏ロボットは音高を目標値としてフィードバック制御されていたが, 目標値への収束に時間がかかるので, 時間の制約が厳しいメロディ演奏には不十分である. (本文より)

これ、実際にテルミンを弾いてみるとものすごく分かる!! 人間が演奏する場合にも音高を目標値にしてフィードバック制御してるわけですが、たしかに収束しないんですよ。何とか半音以下の領域には収まるが、どうしても振動してしまう。「音程が合ってないのをわかってるのに合わせられない、テルミンならではのこのもどかしさ!」ってやつです。んで結局アップテンポの曲は演奏しにくい。

  で、この研究では距離-音高の関係をモデル化してフィードフォワード制御をすることで、高速な目標値追従を実現しています。モデルは3つのパラメータを持つシンプルな指数関数で表されています。パラメータは“学習フェーズ”で同定します。ようするにキャリブレーションがいるわけですが、これはまぁ当然。

  そして実験では平均絶対誤差8~14[Hz]で音高に追従できたとのことです。これに関しては、低音の方が周波数変化に対して敏感なので、周波数そのままじゃなくcent(対数)で評価したほうがよいのではないか? でも音高が高くなるにつれて距離に対して敏感になるから相殺されるのかな。指数だし。あと、せっかくだから追従速度も評価すればいいのにね。もともとそれが目的だし。

  しかし大変面白い。まぁロボットに楽器演奏させて何になるの?っていう根本的な課題はあるが。

2009/12/28 (Mon.) Trackback() Comment(2) 論文紹介

2009
10
02

【論文紹介】バイオリン奏者にみられる顎の変形について

  こんばんは、abeです。今日のトピックは珍しい歯科医学系ですよ!

“バイオリン奏者にみられる顎の変形について”
(Mandibular deformation among violin players),
本田,大阪歯科学会,The Journal of the Osaka Odontological Society 66(2) pp.34-35,2003年6月

  たった1ページの要旨ですが、着眼点が非常に面白い。バイオリン弾きは顎が歪むということに基づいた調査研究です。専門用語満載でよく分からんが、顎変形に関して1~5%ぐらいの危険率で相関が認められたらしい。サンプル数が少ないのがちょっと残念ですね。

  しかし器楽奏者の体の変形というのはよくありそうです。毎日何時間も演奏するわけですし。マンドリン弾きは足を組むから背骨が歪みそうですね。そして右腕だけ異様にたくましくなる。あ、弦楽奏者は左手の指が長くなる、とかもありますね。m田いわく、押弦動作の繰り返しで指が微細骨折を繰り返し、超回復により成長するらしい。たしかにボク(ギター暦いちおう伊達に10年)の指も、心なしか左の方が長い気がする(図1)。

PA0_0067.JPG

図1. 左手指だけ微妙に長い気がするボクの手


   というわけで皆さんのカラダも変形してませんか? たとえばラッパのマッピを斜めに当てていたために、唇が歪んでいるとか……

2009/10/02 (Fri.) Trackback() Comment(4) 論文紹介

2009
09
29

局所特徴を用いた猫の顔検出に関する予備的検討

  続くと思ってなかった論文紹介、第2弾。猫の顔を検出するお話。論文というか口頭発表の予稿なのですが、これは面白い。実に面白い。

“局所特徴を用いた猫の顔検出に関する予備的検討”

(A preliminary study on a method for cats' face detection by utilizing local features),
草野ほか,電子情報通信学会総合大会講演論文集 2009年  情報・システム(2) pp.219,2009年3月
こちらでPDF(直リン)が見られます。

   デジカメ所有者の約2割がペットを被写体としている。が、人間と違って猫の顔は模様があるから、人間の顔検出をそのまま適用することは出来ない。そこで…というアプローチ。1,555枚の猫画像で学習を行い、47枚のサンプル画像で性能評価しています。今後の独自のアルゴリズムによる発展に期待ですね。

2009/09/29 (Tue.) Trackback() Comment(0) 論文紹介

2009
09
01

論文紹介 - 音楽記述言語PMMLの概要

  世の中には、星の数ほどの論文が存在する。そこにはたくさんの画期的なアイディアや面白い分析が披露されており、宝の山とも言える。しかしながら、多くの論文は他分野の人間の目に触れることなく、世の中に影響を与えられぬまま、ある意味眠っている。

  そこで新たに設立いたしました本コーナー、「論文紹介」。その名の通り、面白そうな論文を勝手に持ってきて紹介、勝手にコメントするという自己満企画。趣味と専門の関係で音楽情報学とかロボティクス・通信関係に偏るかもしんないが、なるべく色んな分野を見ていきたい。


  さて!記念すべき第1回はこちら。

“音楽記述言語PMMLの概要”
(Overview of the Practical Music Macro Language),
西村,情報処理学会研究報告. [音楽情報科学],1997年

ちょっと古いですが。音楽をプログラミング言語のようなモノで記述するという発想。LilyPondのように楽譜を記述するためのTeXライクなマークアップ言語はありますが、こちらは音楽ソノモノを記述するというコンセプト。

PMMLは、音符、休符、和音、並行する複数のパート等の基本的な音楽要素を簡便に記述する機能に加え、自由曲線に基づいたパラメータの連続変化、制御構造やマクロを使った音楽の構造記述、アルゴリズムによる楽曲合成、エフェクタと呼ばれるソフトウェアモジュールによるイベント処理、メッセージパッシングによるパート間での通信または同期といった、より高度な機能を備えている。

だそうでございます。高水準の記述が可能で、繰り返しやパターン呼び出しなど音楽の構造を表現でき、またアルゴリズムによる楽曲合成が可能とのこと。他にも音楽記述言語というのはいくつかあるそうですが、どれも可読性に問題アリなんだとさ。

  文中では実際に、バッハのプレリュードの一部をPMMLで書いてあります。1小節分の音形パターンをpatternという名のマクロとして記述しておくことで、簡単に繰り返しパターンを配置できる。

def(pattern) {
repeat(2) {
  { h $1++ }&
  { r(s) h-g $2 }&
  { r(i) s $3 $4 $5 $3 $4 $5 }
}
}

pattern(c4, e4, g4, c5, e5)
pattern(b3, d4, g4, d5, f5)
pattern(c4, e4, g4, c5, e5)
(以下略)

という感じで、pattern内でリズムパターンを定義し、引数として音高を渡している。平行カノン(?)など、厳密に構造化された音楽の記述に向いてそうです。他にも包絡線のコントロールチェンジ(ADSRの調整)とかもできるみたいです。どちらかというとMIDI生成を主眼に置いている。なかなか面白そうだ。

でも仕様覚えるのがめんどくさいな。


  というわけで第1回論文紹介でした。オンガクヲタクの皆さん、いかがでしたでしょうか。次回からは頑張ってもうちょっとちゃんと読んでから解説します、サーセンwww  

2009/09/01 (Tue.) Trackback() Comment(2) 論文紹介

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